COLUMN STAFF

vol.05
Snow Peakファミリー、佐渡へむかう

Snow Peakファミリー、佐渡へむかう

Lim Jaeheon

林 載憲

(Snow Peak 企画開発本部 Apparel開発部 企画課スタッフ)

登山道具、キャンプ用品など、ユーザー目線でモノづくりをしてきたSnow Peakですが、現在はより深く自然を体験してもらうため、経験やつながりにコミットした新たな試みを始めています。そんな流れで生まれたのがSnow Peak Experience。なかでも、佐渡島は豊かな自然と、離島ながらさまざまな行事やコンテンツを有し、キャンプ体験を通し自然を体感するといった目的に理想的な場所に思えました。新潟駅から港に移動し、日差しを若干浴びながらフェリーでうたた寝をしていると、いつの間にか海一面に囲まれ、輝く水面の先に島が浮かび上がってくる。カモメの鳴き声とエンジンの音が、離島にきた気持ちを高揚させる。ふだん建築物だらけの東京で、室内の閉ざされた空間で生活していた私にとって、島中を埋め尽くす緑と海の輝きは、想像以上の解放感を与えてくれました。人工的に作られた美しい景色にはない、心を豊かに満たす安らぎと落ち着きが、素っ気ない離島の港に感じられました。今回の佐渡島モニタートリップに参加されたのは、私のように普段都市生活をしているお客様がほとんど。忙しい毎日の生活があるからこそ、この解放感をより深く味わうことができるのかもしれません。まだ見ぬ島の美しさと、解放感ある空間に着いた時の胸の高鳴りを感じながら、テントの設営に取り掛かりました。

ド素人の私にもわかる、キャンプの楽しさ

モニタートリップの前日。準備のためスタッフ用のテントを設営し、諸準備に取り掛かりました。実はまだフレームを通す順番すら不安なド素人である私でしたが、先輩の手と知恵を借りてやっと設営を完成。当初の不安感から一転、フレームを三つ、四つ通して自分だけの宿ができることに、ちょっとした感動と粋なカッコよさを感じました。今回テントが立ったキャンプ場は、なんと神社の敷地内にある森。解放感のある草原をキャンプ場のイメージとして持つ人が多いと思いますが、湿った柔らかい土の上に木々に囲まれて泊まれる体験は、なんとも贅沢な宿泊体験でした。寝るときは虫の鳴き声が子守歌になり、木の葉にたまる雫の匂いとともに目覚める。五感を研ぎ澄ませ自然を感じることで、本来の自分が心地よく感じる時間と動き方を再発見。自然に回帰し、感じ、人間性を再考すること。キャンプには動きの楽しみだけでなく、静けさの中で生まれる楽しみもあることを、この地で学ぶことができました。

LOCAL WEARという服

LOCAL WEARは、なくなりつつある地産事業に感じた危機感と、その土地でしか感じることのできない、「着る」という感覚を思い出して欲しいという想いから生まれた服です。その土地で生まれた服を着て、その服らしい過ごし方をする。それは、単になくなりつつある職人技や工場を活かそうとする活動ではなく、そこにそれがあるべき理由を探す旅だと言えるかもしれません。モニタートリップ中は、スタッフともども、藍染で染まった青いLOCAL WEARを身に纏い、佐渡のさまざまなな場所を歩きまわりました。旅中に撮られた集合写真を見ていると、妙な一体感とともに、それを着るだけでその地に馴染めたような気分すらしてきます。「着る」ということが経験とその地の感情につながり、ゆくゆくはその思い出を都市での生活でも感じられるきっかけになれることを願いながら、LOCAL WEARの心地よさをもう一度感じてみました。

佐渡島のススメ

朝になると、神社の裏の丘で、きれいな湖を眺めながらスープとパンを頬張り、ゆったりとした時間を過ごしました。緩やかなそよ風も気持ちよく、ぼんやり空を眺めていると、絶滅危惧種のトキが鳴き声を鳴らしながらゆっくり飛んでいくのが見えました。白い体に赤い頭部を持つトキは、まるで日本の国旗のように堂々としていて、ゆっくり通り過ぎるトキの動きとともに過ぎていくゆっくりした時間は、あわただしい日常では考えられなかったインスピレーションを与えてくれました。自然が豊かな佐渡島でしか見ることのできない鳥と、それを眺めながらスープを啜る音を立てていると、自分もふと自由に飛びたいな、なんて思ってしまいました。

Snow Peakが願う、キャンプ、アパレル、土地の未来

Snow Peakはよく、アウトドアブランドと認知されることが多い。もちろん、作る製品とサービスはアウトドアのフィールドに特化したものが多いように感じます。でも、私たちが目指すのは、アウトドアを楽しんだその先にある、「自然」にあります。自然に身を置き、原始的なライフスタイルを楽しむことで人間性を取り戻すこと、そこにSnow Peakの存在意義があるのだと思います。キャンプであれ、そのキャンプ場と都市を行き来しながら着る服であれ、自然に身を置き人間性を取り戻したいという想いは変わりません。そして、未来にも人間と自然が戯れる会話の場所、「土地」を大切に育てていくことが大事なのではないでしょうか。佐渡で感じた「土地」の大切さは、帰りに着ていたLOCAL WEARにそのまま沁み込まれ、都市での日常生活でも胸の中に深く残っていく。ぜひ読者の皆さんも、野遊びを通し原始的な楽しみ方を知ってほしい。自然は、すぐ近くにあるのだから。

林 載憲 (Snow Peak 企画開発本部 Apparel開発部 企画課スタッフ)
イム・ジェホン/早稲田大学政治経済学部卒業後、韓国空軍学士士官将校として勤務。その後、文化ファッション大学院大学で服飾デザインを専攻し、2018年4月より株式会社スノーピークに入社。韓国と日本の文化に幅広く興味をもち、経済や心理学など多種多様な学問・コンテンツを織り交ぜたモノづくりを得意とする。
Snow Peakファミリー、佐渡へむかう
Snow Peakファミリー、佐渡へむかう
Snow Peakファミリー、佐渡へむかう
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Snow Peakファミリー、佐渡へむかう
林載憲 (Snow Peak 企画開発本部 Apparel開発部 企画課スタッフ)
イム・ジェホン/早稲田大学政治経済学部卒業後、韓国空軍学士士官将校として勤務。その後、文化ファッション大学院大学で服飾デザインを専攻し、2018年4月より株式会社スノーピークに入社。韓国と日本の文化に幅広く興味をもち、経済や心理学など多種多様な学問・コンテンツを織り交ぜたモノづくりを得意とする。