COLUMN STAFF

vol.16

「わたし」という生き方

Kaede Naito

内藤 楓

(Snow Peak Headquarters スタッフ)

キャンプとの出会い

それは小学3年生の夏のことでした。荷物がぎゅうぎゅうに詰められて、背もたれはほぼ垂直、後部座席でひたすら車酔いに耐えながらキャンプ場へ。車を降りて目にしたのは、色とりどりのテントや楽しそうな人の姿。わくわくがとまらず、気持ちが悪いのも忘れて走り回っていました。
手づかみで捕まえ、自分で捌き塩焼きで食べたニジマス。初めて見る顔ほどの大きさのオオミズアオ。燻製のにおい、沢の水の冷たさ、夜空の星の輝き。今でも鮮明に思い出すことができます。心臓はどきどきするのに心は穏やかで、満ち足りた気分なのに泣きそうになる。そんな不思議な感覚に、わたしは虜になってしまったのでした。

長野で過ごした4年間

中学を卒業し地元の女子高校に進学したわたしは、部活動に明け暮れていました。3年生の夏になり、進路の話が本格的になってきたころにはさすがに慌てましたが、ある大学の説明を聞いて即決。長野にキャンパスを置くその大学は、キャンプや登山などといった実習が多い野外教育に特化した学科があるとのこと。自分の好きなことをして単位がもらえるなんて最高!と、志望動機は単純なものでした。
後先を考えるような性格ではありません。猛勉強の甲斐あって無事大学に進学したわたしは、素晴らしい環境の中で多くの人と出会い、アウトドアの楽しさを教えてもらうことになったのでした。
特に好きだったのが登山。大学でも部活動に所属していたため、引退するまではあまり登りに行けなかったのですが、4年生になり授業数が少ないのを良いことに、徐々に山に登る回数が増えていきました。

山とわたし

登山の前後1週間は、基本的にそわそわしています。何を食べようか、どのルートで行くか、どのキャップを被るか、帰りの温泉はどこにしようか、天気はどうだろうか、山道具の買い足しは必要か…。「この日山に行こう」と決めてからは、困ったことににやにやがとまりません。 山から下りてきても、余韻に浸ってぽうっとなってしまうから困ったものです。写真を見返しては、にやにやしています。にやにやしていたら、山に行ったか、おいしいものを食べたかのどちらかです。
山に登るときに外せないのがチョコパイです。食べるころにはボロボロになり、胃袋に収まる分は多くはないのですが…。頑張った自分へのごほうびには、チョコパイが一番。
「なぜ山に登るの?」と聞かれると格好をつけて「そこに山があるから」なんて答えたりしますが、正直、よく分かりません。ただ、自分にとって山は、自分が一番自分らしくいられる場所であると思っています。自然の雄大さと自分の小ささを感じ、生きていることに対して純粋にありがたいと思える。
登山の後は、撮影した山の写真を見ながら絵を描き、ルートや見たもの食べたものを記した「登山ノート」を作っています。わたしは物忘れが激しいので、こうして描きとめておくのです。絵を描くことも好きです。自分の世界に入って、夢中になることができるから。口下手な私にとって絵は、ひとつのコミュニケーションツールとも言えるかもしれません。

自然が好き、山が好き、絵が好き。そして、自分の「好き」で人とつながることのできる、スノーピークが好き。もっとたくさんの方と、もっとたくさん話がしたい。その人の「好き」を知りたい。そう思って明日も元気にお店にたちます。みなさんの「好き」を、聞かせてください。

内藤 楓(Snow Peak Headquarters スタッフ)
ないとう・かえで/埼玉県川越市出身。長野の大学に進学し、野山を駆け回る自由奔放な学生生活を送る。卒業後スノーピークに入社。1日を通してブヨに刺された箇所は、社内一多いと自負している。