COLUMN STAFF

vol.13
佐渡を生きる

佐渡を生きる

Shota Ishizaka

石坂尚太

(Snow Peak Store ISETAN HAUS大名古屋ビルヂング店 スタッフ)

Snow Peakが地方の新たな価値を見出したツアー型のイベント「LOCAL WEAR TOURISM 2nd」。私はスタッフとして参加するため、岐阜県から8時間をかけて新潟県の佐渡へ。フェリーから見えた佐渡は、初めて訪れるにもかかわらず、どこか懐かしさを感じる。このとき、この懐かしさは、生まれてからほとんど毎年家族で香川県の小豆島に旅行に行っていた私だけが感じたものだと思っていた。船、島の影、港、そして海の匂いのすべてが、「ああ、いいなぁ」と。
佐渡に着くと、まずはお客様を迎える準備。宿泊の舞台となる場所は600年以上前に建立された椎崎諏訪神社。神社の境内にアメニティドームやレクタが並ぶ姿は幻想的で、神社全体が優しさと偉大さで満ち溢れていた。明日いらっしゃるお客様にも、この佐渡を感じてほしい。そう思いながら寝袋に入りこんだ。
遠くでトキの鳴き声が聞こえ、木々から光が差し込みテントの中まで伝わってくる。気が付くと朝だった。スタッフはみな、藍色のLOCAL WEARで身を包み、忙しなく準備をしながらお客様を迎える。社殿の傍にある簡易的な水道で、夕食に使うお米を洗う自分が、少しだけ御坊様になった気分。それから間もなくして、次々とお客様が神社に向かって歩いて来られ、鳥居をくぐる瞬間に自然と笑顔に。「ようこそ、佐渡へ!」。自然とそんな気持ちで挨拶をしていく。
午後はお客様と一緒に寝床となるテントの設営をし、ひと段落すると周辺を散策。島のひとつひとつの風景が新鮮で、美しい。なんでもない田園風景や街並みが自分をどこか遠くの世界に連れて行ってくれる感覚。そうしていつの間にか空も暗くなりはじめ、私たちスタッフは夕食の準備へ。豪華なお肉や野菜のBBQに加え、佐渡で捕れた新鮮な魚や蟹を使った漁師汁が絶品で何度もおかわりされる方も。
「佐渡に来てお客様は、今どう感じているのだろうか?」ふと気になった私は、一緒にテントを設営したお客様のもとへ。
「佐渡はどうですか?」
すると、そのお客様は一言だけ、
「時間が止まっている」と答えた。
その言葉に強く共感した私は、そこで確信した。佐渡には人を癒す力があるのだと。普段忙しく生活している都会の人にとってLOCALの暮らしが癒しになるのだと。
LOCAL WEAR TOURISMの2日目は、メインイベントである稲刈り。昔ながらの鎌で稲を刈る方法。実家が農家というお客様が、昔を思い出したように汗だくに、でも楽しそうに稲を刈っている。そして、私を含むほとんどの人が初めてやるであろう稲刈りが楽しくて、予定よりも早く稲刈りが終わる。
稲刈りのあとに佐渡の食材を使った料理、佐渡で収穫した新米を食べながら思った。佐渡の自然、佐渡の料理、稲刈り、どれも初めてなのにどこか懐かしい。この懐かしさはどこからくるのか。おそらく人間のDNAに刻まれているのではないだろうか。美しい風景を美しいと思うこと、昔の暮らしが懐かしいと思うことはすべての人間が持っている。佐渡を生きる、LOCALを生きることが、私たちSnow Peakが目指す「人間回帰」なのだと。
帰り際にそんな私たちを祝福してくれるかのように佐渡の空が微笑んだ。

佐渡を生きる
佐渡を生きる
佐渡を生きる
佐渡を生きる
石坂尚太(Snow Peak Store ISETAN  HAUS大名古屋ビルヂング店 スタッフ)
いしざか・しょうた/6年前にスノーピークへ入社後、大阪→岐阜→名古屋の店舗に勤務。大学の4年間は無人島で子どもたちとキャンプをする活動をしていた。夏は湖畔キャンプ、冬は雪中キャンプが最近の楽しみ。