COLUMN STAFF

vol.11
いつもより、ちょっといいウィスキーを飲みます

いつもより、ちょっといいウィスキーを飲みます

Yutaka Kudo

工藤 豊

(Snow Peak 東急プラザ銀座、丸の内 兼任店長)

3年前の冬、HQの豪雪の中に立っているテントを見て、「雪中キャンプってかっこいいな」なんて思いながら、緊張しつつスノーピークの最終面接に臨みました。その時の最後の質問です。
「キャンプに行って何をしますか?」 その答えが、このコラムの題名でした。聞かれそうなのですが、まったく考えていなかった質問に、無意識に出た言葉に、面接官の方は笑い、なんとなく「わかるよ、それ」という表情をしていたように思います。
基本的に出不精で、無類の酒好き。外出するのは、もっぱらキャンプをするときのみ。チタンマグとケトル No.1は必ず持っていきます。いちばん愛着のあるモノ。あとはウィスキー。とにかくウィスキーの酩酊感が、僕は好きです。僕は毎日ウィスキーを飲むのですが、キャンプのときは普段飲まないウィスキーを持っていきます。暑い日はピートの効いたタイプ、寒い日は柔らかめのシングルモルト。水がよいキャンプ場なら、水割り用にちょっといいブレンデット等々…。
今ではそんな余裕を楽しむキャンプをしている僕ですが、誰にでも、どんなことにも始まりはあります。初めて買ったテントは、フジロック用。そのテントでキャンプを始めました。出不精なのに。そのテントは、ふもとっぱらキャンプ場でのとあるキャンプ時、深夜の突風で吹っ飛ばされました。その帰り道、WILD-1 多摩ニュータウン店に行き、もろもろ事情を話し、「テントとは何ぞや」「このロープは張らないと」など、店員さんにあれこれ聞きました。「深い、奥が深い」と感じ、キャンプに対しての興味が心底わいた瞬間です。
それからは毎月1回以上のキャンプを目標とし、毎回必要なモノや、必要なコトに気づき、回を増すごとに自身のキャンプスタイル(ルール?)が確立したように思います。


・食材はキャンプ場近くで地物を買う(「あっ!花ズッキーニがある!」みたいな驚きに、小さく感動)。

・「長野にきたんだから今日はマルスウィスキーだな」とか、夜の酩酊に思いを馳せる、始まる前の儀式。

・道志に行くときは、道の駅で地元のおばちゃんが作っている梅干しを吟味。塩分濃度を比べながら選ぶ楽しさ。

・焚火が始まってから、とっておきのウィスキーを飲む。


「さて、このウィスキーはどんな飲み方がいいだろう」「小さな音で聴く音楽は、何にしよう」 「あぁ、誰か薪をくべてくれ…」などと思いを馳せながらやっているうちに気持ちよく酩酊して、時間とともに家では絶対に味わえない瞬間がやってきます。浅間山の近くで見た満天の星空、四尾連湖の深い霧の中で桟橋にノクターンを置いた幻想的な夜、月明かりで浮き上がる富士山と野生動物の鳴き声……。心地よい時間を求めて出不精がキャンプをしてる姿を、想像できましたでしょうか?

「酔うという事は体が夢をみることだ」。好きな本に、こんなお気に入りの一文があります。キャンプをしている自分は、そんな酔っ払いでい続けたいと思います。そしてキャンプの時間は、夢をみているようにあっという間に過ぎ去っていく。だから何度も行くんでしょうね。

いつもより、ちょっといいウィスキーを飲みます
いつもより、ちょっといいウィスキーを飲みます
いつもより、ちょっといいウィスキーを飲みます
工藤 豊(Snow Peak 東急プラザ銀座、丸の内 兼任店長)
くどう・ゆたか/前職でアパレルや百貨店勤務などを経て、スノーピークへ入社。コンパクトな装備でのキャンプが好きな、ウィスキーには目がない呑兵衛。